バンピルブ戦争後、シビル川以西は戦後処理や長引く旱魃によって、経済的に苦しい状況が続いていた。 さらに、戦争が終わって仕事を失い野盗化する傭兵団が増加し、治安が悪化していた。 それに比べてシビル川以東は、復興特需によって国力回復が進んでいた。 エリオス=アルブレントはルーヴェントを建設し、領主として内政に尽力していた。
そんなエリオスのもとに縁談が舞いこんできた。相手はワルケイン家の令嬢ルフィーヌ。 両者は見合いを通して互いに好感を抱き、婚約が成立することとなった。 そこに母フィアの訃報が飛びこんできた。かつてエリオスが失意のなかにあった時、救いの手を差し伸べてくれた母の死に、エリオスは慟哭した。
シビル川以西では社会の不安定化に伴い、タキノフ教という新興宗教が広まっていた。 イルタニアを支配するネオス=ルクレオンは、タキノフ教の勢いに警戒感を抱き、イルタニアで布教活動をしていたラクネスを拘束した。 これにタキノフ教団が反発したことによりイルタニアは混乱状態に陥ったため、 家宰マウルス=ボルガナンは傭兵でタキノフ教徒のルーサスの提案を飲み、ネオスをルクレオン家当主の座から引きずり下ろしたのであった。
監禁されたネオスは鉄騎兵団のベイン=エルメールによって救出され、マウルス討伐の号令を出し諸侯を集めた。 ネオスの息子ユスティムを擁立したマウルスは、ベインがネオスを担いで謀叛を起こしたと主張し対立。 ルクレオン家のお家騒動は軍事衝突に発展し、ユスティム陣営で実質的に戦いの指揮をしていたルーサスがネオスを討ち取ったことで終わりを迎えた。
ユスティム陣営を勝利に導いた功績によりローレン城主になったルーサスは、ダロと共に野盗討伐に力を注いだ。 これに危機感を抱いた野盗は連合を組み、パルトムン家の領地を実質的に支配して対抗した。 ルーサスはルクレオン家臣団が総力をあげて野盗討伐に乗り出すべきだと主張するが、ルーサスの勢力拡大を警戒したマウルスがこれを拒否し、野盗をさらに勢いづかせた。
野盗連合を見過ごせなくなったダロは、自分たちだけでも野盗討伐のために動くべきだとルーサスに詰め寄るが、ルーサスは戦力不足を理由に討伐を見合わせた。 そのためダロとルーサスは対立し、野盗に怯え救援を求めてきたティモン村を救うため、ダロはルーサスの力を借りず傭兵団を率いて駆けつけた。 野盗連合の猛攻に対しダロは果敢に挑んだが、敗北し戦死した。これによって、野盗連合はルクレオン家臣団の手に負えないところまで力をつけてしまったのであった。
一方ティターラでは、タキノフ教の勢力拡大に危機感を抱いたホーンウェルン公が、タキノフ教の教祖ロドスを幽閉した。 ユスティムはロドスを解放するため、ボーンティング公に協力を要請し、ボーンティング公はこれを受けホーンウェルン公に圧力をかけた。 ホーンウェルン公はボーンティング公からの圧力による心労から倒れ死亡し、シェーホント侯がティターラ城主の座を継ごうとした。 これにボーンティング公が反対したことから、シェーホント侯とボーンティング公の争いが起こった。
シェーホント侯はガルディア王国がボーンティング公の意のままになっている実態を見て、ミッドビル王国に鞍替えしようと考えた。 これに対してミッドビル王国はシェーホント侯の覚悟を確かめるため、パルトムン領の野盗を討伐するよう持ちかけた。 シェーホント侯はミッドビル王国の要請を受け、鉄騎兵団にパルトムン領侵攻を命じた。 その侵攻軍のなかには、戦いを求め参加したスレイヤ傭兵団の姿があった。
鉄騎兵団の侵攻に恐れをなした野盗連合は逃走し身を隠した。そして、最後の大仕事としてアルティ村の襲撃を計画した。 この情報を事前に察知したルーサスは、スレイヤ傭兵団を雇ってアルティ村を防衛し、野盗連合の主要メンバーを討ち取った。 これにより、パルトムン領で暴れていた野盗連合は壊滅したのであった。
シェーホント侯とボーンティング公の争いは五大公を巻きこみ、スィッタース公とボーンティング公の軍事衝突にまで発展した。 この戦いでヴェルカーヌ侯が密かに組織していた魔術部隊が投入され、途中でメリウス宰相の妨害はあったものの、魔術の軍事的な利用価値が証明された。 メリウス宰相の仲介により、スィッタース公とボーンティング公の和解が成立し、ボーンティング公は勢いを増してシェーホント侯討伐に乗り出し、大軍を率いてティターラ城を包囲した。
窮地に立たされたシェーホント侯は、スレイヤ傭兵団にクックヘルム領への攻撃を依頼した。 クックヘルム伯はボーンティング公に取り入り、次期ティターラ城主候補となっていたが、スレイヤ傭兵団の攻撃に対処するため自分の領地から動けなくなり、ティターラ城攻略に参加した諸侯の士気を低下させた。 これを好機と見たミッドビル王国は、シェーホント侯を救援するため出兵した。
ミッドビル王国のドレスラッド将軍は国境付近に軍を展開し、ミッドビル王が率いる本隊の到着を待っていた。 これを殲滅するべく、ヴェルカーヌ侯は大規模破壊魔法でドレスラッド軍を攻撃させたが、ミッドビル王国に亡命したメサビラによって防がれてしまった。 メサビラの亡命は、メリウス宰相がマズラルの誓いを守るために行ったもので、メリウス宰相は国家機密を漏洩した罪で失脚したのであった。
魔術の軍事利用の道筋をつけたヴェルカーヌ候は、用済みとなったボーンティング公とその一派の一斉逮捕に踏み切った。 これによってヴェルカーヌ候はガルディア王国の全権を掌握し、王権をより強固にするため五大公の弱体化を図るのであった。
ヴェルカーヌ候の台頭に合わせルーサスは勢力拡大に乗り出した。野盗討伐を口実に軍を招集しパルトムン家からハルスワーム城を取り上げ、ロイサン=クーラントを城主に任命した。 これはルクレオン家の任命権の侵害に当たる行為であったが、ルクレオン家はルーサスの越権行為を止めることができなかった。 さらにルーサスはルクレオン家がボーンティング公に賄賂を渡し野盗討伐に対する怠慢の責任追及を逃れていたことを批判し、ルクレオン家のイルタニア追放を要求した。 ルクレオン家にルーサスと対抗する力はなく、ヴェルカーヌ候がルーサスを支援したことで追い詰められ、ルクレオン家はルーサスの要求を飲むこととなったのである。
ガルディア王国内の権力闘争が一段落するなか、スレイヤは自分のために戦うことを決意しクックヘルム領を奪い、さらにカルモ城を制圧してシェーホント侯と対立することになった。 戦いを有利に進めるスレイヤ傭兵団に対し、シェーホント侯はリンドルクサン家に援軍を求めた。 アレス=リンドルクサンはスレイヤと戦うことに難色を示したが、シェーホント侯からの援軍要請を拒否するわけにはいかず援軍に駆けつけた。
シェーホント・リンドルクサン軍とスレイヤ傭兵団の戦いが続くなか、ソロラ村でスレイヤと同郷のグワッフが村人に殺害された。 グワッフの部下がソロラ村で狼藉を働いたことが原因だったが、親友の死に激怒したスレイヤはソロラ村の殲滅を決意。ソロラ村の住民はリンドルクサン軍に救援を求めた。 望まぬ形での戦いに揺らぐアレスと、怒りの炎に焼かれ止められなくなったスレイヤの一騎討ちによって、アレスは命を落としたのである。
一方、オークはバンピルブの死後、息子のダミーガンダが頭領となったが、穏健派のダミーガンダはバンピルブに仕えてきた荒くれどもをまとめるのに苦労していた。 そんななか、ダミーガンダが人類との和平を考えていることが明らかになり、重臣のズグバルが反旗を翻した。 反乱はドルオがダミーガンダ側についたことで鎮圧されたが、オーク内部に大きなしこりを残すこととなった。
ダミーガンダが人類との和平の道を模索するなか、グラマスが和平を妨害するため人類に対して攻撃を仕掛けた。 その事に反発したダミーガンダの取り巻きはグラマスに対して圧力をかけようとするが、 人類と和平を結ぶためオーク同士で争うことの愚を止めようとしないダミーガンダに失望したザリニオは、謀反を起こしてダミーガンダをモンケンから追放し、ドルオを新たな頭領として迎え入れた。 これによって、オークがいつ人類に対して大規模な攻撃をして来てもおかしくない状況に陥ったのである。
オークの脅威に危機感を抱いたエリオスはヴェルカーヌ候と会談してガルディア王国とシェーホント侯の対立を解消するよう求めた。 ヴェルカーヌ候はこの要望を受け入れ、クールディング家がシェーホント家に領地を侵犯されたと主張し争っていたのを調停し、シェーホント侯はスレイヤ討伐に本腰を入れられるようになった。
スレイヤ傭兵団は、カルモ城の防衛に当たっていたクルスがジョバンの説得により、スレイヤとの間に溝ができて離反。 雇われていた他の傭兵たちも劣勢と見るや契約満了を機に脱退。 スレイヤの愛人レダがリンドルクサン家の引き抜きに応じ、ファルカーをはじめとする旧クックヘルム軍と共に造反するなどして、急速に弱体化してしまった。 クロッツ城に追い詰められたスレイヤは、迫り来るシェーホント・リンドルクサン軍に一騎打ちを求め、リンドルクサン軍に合流したエリオスがこれに応じた。 激闘の末エリオスがスレイヤに勝ち、戦いは終わった。そして散って逝った者たちの夢は次代に引き継がれてゆくのである。